ChatGPTに聞いた、Liquid GlassとFlutterの描画方式から見る限界と可能性
はじめに
WWDC 2025でAppleが発表した「Liquid Glass UI」が話題になっている。それに伴って「Flutterはもう終わったのではないか」という声も出始めている。
そこで今回ChatGPTにこの件について詳しく聞いてみた。
この記事ではそのやりとりをもとに「Flutterは終わったのか?」を僕なりに整理してみる。
なぜFlutterでは「そもそも無理」と言われるのか?
ChatGPTによると、Flutterでは「Liquid Glassのような3D UI体験を再現するのは構造的に困難」らしい。その理由は以下のようなものだった:
Flutterは「3Dインタラクションを検知する手段」をOSから提供されていない
Flutterは、iOSやAndroidといったOSが公開しているタップやスワイプなどの2D的なユーザーインタラクションを受け取ることはできる。これは以下のような理由によるらしい:
- タップは単なる2D座標(x, y)のイベントであり、OSが外部にも通知してくれる
- Flutterはその情報を受け取り、自前で描画したUIにそのインタラクションをマッピングしてきた(「画面の座標(x,y)をタップされたら、Flutterで描画したUIの(x,y)の位置がタップされたことにする」みたいな感じ)
ところが、Liquid GlassやVisionOSで導入されたような空間的な3Dインタラクション(例:注視、深度のあるジェスチャー、視線追跡など)は、
そもそもOSがその情報を外部に提供していないらしい。
これは、Appleが「体験の品質をOS主導で厳密にコントロールする」方針を取っているためで、Flutterに限らず外部の描画系は同じ制限を受けるとのこと。
2Dインタラクションと3Dインタラクションの比較表
種類 | 内容 | Flutter対応可否 | OSの情報提供 |
---|---|---|---|
タップ | 2D座標のクリックやタッチ | ✅ 対応できる | ✅ 公開済 |
スワイプ | 2D的なジェスチャー | ✅ 対応できる | ✅ 公開済 |
注視(視線追跡) | 視線の先のUIを認識 | ❌ 非対応 | ❌ 非公開 |
長視 | 一定時間注視での選択 | ❌ 非対応 | ❌ 非公開 |
空間ジェスチャー | 手や指の3D動作による選択 | ❌ 非対応 | ❌ 非公開 |
現時点ではAppleがこれらの情報を外部に開放しておらず、Flutterでは自前で描画したUIに対してユーザーの空間的な操作を関連づける手段がないとのこと。
将来的にAppleが一部APIを開放すれば技術的には可能性はあるらしいが、少なくとも現状では「根本的に対応が不可能に近い」という印象を僕は受けた。
Liquid Glassとは何か?なぜ注目されているのか?
ChatGPTによると、「Liquid Glass UI」は単なるガラス風デザインではなく、深度・視差・光の反射・動的なブラーなどを含む、空間的・物理的にリアルなUI表現らしい。
ただし、Appleの意図は単なる見た目の刷新ではないらしい。
Appleの本当の狙い:「Spatial UIの標準化」
- Liquid Glassは、AppleがVision Proなどスマートグラスを中心とした3D空間UIに備えるための布石らしい
- スマートグラスでは、画面という2Dの枠がなくなり、**目の前に広がる3D空間そのものがUIになる(=Spatial UI)**とのこと
- そのため、見た目だけでなく3D的なインタラクションを前提としたUIが必要になるらしい
- Liquid Glassはその見た目の一貫性とUXの導線を担うものであり、Apple製品全体に徐々に統一されていく設計思想の一部とのこと
つまり、Liquid GlassはSpatial UIの一要素(ビジュアル側)として導入されたものであり、Appleが空間的UX設計を全面展開するための核となっているようだ。
Flutterはどんな仕組みで描画しているのか?
Flutterは「OSのネイティブUI部品を一切使わず、自前でUIを全て描く設計」を採用している。
これは、Skia(もしくはImpeller)という自前の描画エンジン上で、OSから借りたキャンバスに完全に独立してUIを構築していく方式らしい。
見た目としては「OSの上に板を1枚敷いて、その上に全部自分で描く」という印象を僕は持っていたが、技術的にはOSのレンダリングとは独立して動作しているとのこと。
Flutterがユーザーのタップやスワイプなどのイベントを拾えるのは、OSがその2D的インタラクションを外部アプリにも通知してくれるためらしい。
でも、3D的インタラクションは通知されないため、Flutterがどれだけ似たような見た目を再現したとしても、
ユーザー操作とUIの結びつき(インタラクティビティ)を再現することができないという。
つまり、
「Liquid GlassっぽいUIは描けるかもしれないが、それに対する空間操作は一切効かない」
というのが現在のFlutterの限界らしい。
スマートグラスの行く末を考える
ChatGPTとのやりとりを通じて、僕は次のような印象を持った:
- スマホはその端末自体が2D UIを前提としているように感じるため、スマホ向けのインタラクションはまだ数年は2Dインタラクションが主流なんじゃないか
- スマートグラスでのアプリ開発を考える場合は、Flutterの選択は慎重にすべきだと思う
- GPTいわく、Vision Proのようなデバイスはまずは高所得者層向けに展開され、2028年頃までは普及が限定的らしい。一般的に広く普及するまでにはもう少し時間がかかるのかもしれない。
- スマートグラスはスマホの「代替」というよりは、PCの代替や娯楽デバイスとしての活用のほうが可能性がありそう。スマホとはある程度期間は共存するんじゃないか。
- 頭に装着し続ける疲労感や目の負荷、歩きながらの利用の危険性など、生活インフラとして浸透するには課題も多いと思った
Flutterはもう終わりなのか?
ChatGPTの見解では「Flutterはまだ現役だが、未来の主役ではなくなる可能性がある」らしい。
✅ Flutterが引き続き有効なケース
- スマホ、タブレット、PCなどの2D前提のデバイス
- 開発体験の一貫性を重視するプロジェクト
- UIが特別にネイティブライクでなくても許容されるケース
❌ Flutterが不向きなケース
- 3Dインタラクションが前提となるVisionOSやLiquid Glass対応アプリ
- UIがネイティブ同等以上のUX即応性を求められる場合
今後3DのUIが伸びていく可能性があることを考えると、Flutterを今から新規開発で選ぶことは慎重になるべきかと思います。
加えて、「AIがコードを書く時代」においては、クロスプラットフォームの存在意義自体が再定義される可能性もあるらしい。
そういう意味では、AIの登場によってFlutterに限らずクロスプラットフォーム自体のメリットがそれほど大したものではなくなり、Native言語への回帰が起こる可能性も充分あるように僕には感じられる。
まとめ
- Liquid Glassは「3D空間インタラクション」と一体となったAppleのUI戦略らしい
- Flutterは、そのようなインタラクション情報をOSから取得できないため、構造的に再現が困難とのこと
- ただし、2D的なUIやインタラクションに関しては引き続き有効だと思う
- 将来、3Dインタラクションが当たり前になれば、Flutterに限らずすべてのクロスプラットフォーム技術に再設計が必要になるかもしれないという話だった