「理想を語る者」と「現実を語る者」──リハックの都議選をめぐる議論の噛み合わなさについて考えた

はじめに

東京都議選で「再生の道」が全員落選した直後、リハックの再生の道の落選者たちが出演している動画を見た。(Youtube動画)

再生の道の候補者たちが主張していることとそれに対する高橋さん西田さんの返答を聞いていて、どうにも話が噛み合っていないように感じた。その理由を自分なりに整理してみました。


それぞれの発言の概要

この動画の中で特に印象に残ったやりとりを挙げる。

  • 再生の道の青柳さんの考え
  • 「選挙において求められる能力」と「当選後に議員として求められる能力」の間に大きな乖離(ミスマッチ)がある
    • 議員に求められる能力としては、政策のチェック機能を果たすための分析力や、それを有権者に広く発信・説明する力、そしてエビデンスに基づいて語る力が重要だと考えている一方、選挙では街頭に立って弁舌を振るうことやとにかく広範囲に訴える能力が重視される、と指摘。
    • この乖離を是正するために、選挙のプロセス自体を討論会を軸に変えていくべきだという考えを示した。
  • 西田さんの青柳さんへの返答
  • 青柳さんの発想を「危なっかしい」とし、議員に分析能力が求められているという考えは、再生の道の候補者がそう思っているだけで、有権者が本当にそれを求めているかどうかは分からない、と疑問を呈した。
  • むしろ、多くの有権者は、討論が得意な人よりも、**「地元に張り付いて、住民の要望を聞き取っている」**ような地方議員を求めていることが多い、という見解を示した。
  • 再生の道の仲さんの考え:
  • 有権者が求めていることを発信することも大切であると同時に、**「有権者を教育していくこと」**が非常に必要である、と述べた。
  • リハックの高橋さんの仲さんへの返答:
  • 仲さんの「有権者を教育していく」という言葉に対し、それは**「上から目線」であると指摘し、「そんなこと言ってる人にやっぱ投票したいかって言われると入れたくないですよ」**と述べ、有権者の気持ちが離れてしまう可能性を示唆した。

※あくまで自分が動画を視聴した範囲の印象であり、正確な引用ではないことをご了承ください。


噛み合わない理由:前提のズレ

このやりとりを見て感じたのは、「前提が違いすぎるから話が噛み合わない」ということでした。

  • 再生の道の2人は、「今の政治や選挙のあり方に課題がある」という前提に立っている。
  • 本当に国の未来を考えるなら、政治家には分析力や討論力が必要。
  • それが評価されない今の状況を少しずつでも変えていくべきだという立場。
  • 一方で西田さんや高橋さんは、「現状の有権者の感覚」を前提にしている。
  • 今の有権者が何を求めているかを理解し、それに応える形で票を得るべき。
  • “教育”という発想そのものが距離を生むという現実的な指摘。

再生の道の二人は「政治・選挙のあるべき姿」を目標にしているのに対して、高橋さん西田さんは「選挙で勝つ」ことを目標にした発言をしている。

お互いの主張の前提となる目標が違うため、なんだかうまく噛み合っていないなと感じました。


再生の道の異質性

政治家であれば、誰しも選挙で当選したいと思うのが普通だ。

それは再生の道も同じで、候補者たちは当選したいはず。

けれど、再生の道は当選を最優先目標にしていないように見える。そこが他の主要な政党とは大きく違う点だと思う。

もし当選を第一目標にしてしまえば、たとえば:

  • 「給付金を増やす」と掲げれば票が集まりやすいのでは?
  • 自分に熱心な支持者が多いなら、投票率が下がりそうな時期を狙って選挙日を設定すれば有利なのでは?

というような、“票を得るための戦略”を追求することになる。

でも、それって本当にあるべき姿なんだろうか?と疑問に思う人も少なくないと思う。

だからこそ、青柳さんや仲さんは、政治や選挙の仕組みそのものが「もっとあるべき姿に近づくように」と思って、ああした主張をしているのではないかと思う。

再生の道を支持するかどうかは別として、当選を最優先にしない異色な政党が存在すること自体が、投票する側にとっては選択肢が広がるという意味で価値があると感じている。


まとめ

どちらが正しい/間違っているという話ではないけれど、議論が噛み合わなかった理由は明確だと思う。

再生の道は「今の政治の基準」を変えようとしている。 リハック側は「今ある基準の中でどう振る舞うか」を語っている。

これは、政治だけでなくどこにでも発生しうる構図だと思う。「理念から現実を変える」立場と「現実から最適解を出す」立場のすれ違い。
それが今回のリハックの動画に出ていたのかなと思いました。


※本記事は僕がYouTube動画を視聴した範囲での印象と解釈に基づいており、正確性には留意していますが、引用の厳密な正確性を保証するものではありません。